18歳 天啓「政治家になることを決意」

祖父から受け継いだ情熱のDNAが目覚めたのか。



  彼は平凡な大学生であった。
特に定まった目標も無い、少し人前で話すのが苦手な、ごくごく普通の大学生であった。
政治についても特に興味など無く、総理大臣が誰だろうが、消費税が上がろうが下がろう
が別に構わない、と思っていた。

  だが、彼は出会ってしまう。京大名誉教授・故会田雄次著、『日本人材論・リーダーの条件』。
この本を一読した時、雷に打たれたような感覚が彼を襲った。
その本ではタイトル通りリーダーの条件について語ることによって、現代社会の病理が明らかにされていた。
彼はそれを夢中で読んだ。寝食を忘れ、一日半で読み終えた。
この時、彼の中で何かが確かに“変革”した。彼はそれまでの“特に何の目
標も無い”大学生ではなかった。いても立ってもいられなかった。読み終わる
と、傍らにあったレポート用紙に箇条書きで学校教育のあり方について、身近
な問題について、無我夢中でがりがりと書きつけた。彼は、この瞬間のことを
こう語る。
「僕はそれまで、率先してリーダーシップを握るようなタイプじゃなかった。
どっちかと言うと実務をこつこつとやっているタイプだった。でも、読み進む
につれて、“自分がなんなきゃいけない。自分がなるのは悪いのか。いや、自
分も政治に対して何か貢献できるんじゃないか、っていう強い思いがふつふつ
と湧き上がってきてね。今の政治のあり方に対して、問題点が、無限に、ねず
み算式に浮かんでくる。そうしたら、いても立ってもいられなくなった」

 この時、まさに現在の“林じゅん”が生まれたと言えるだろう。

 いや、あるいはそれは眠っていただけの祖父から受け継いだ情熱家のDNAが
目覚めただけの話なのかもしれない。彼の祖父は、その鮮烈な色彩と重厚な絵
柄でもって知られ、昭和42年に文化勲章も受章した林武、その人である。その
祖父も、小学五年の時に“お前は画家になれ”という天の声を聞き、画家を目
指す決心を新たにしたという。
林じゅんも、天の声を聞いたのかもしれない。

 「お前は政治家になれ」と。
その後、彼は信じられないほどに成長と遂げていく。



1.プロローグ「ゼロからのスタート」
2.18歳 天啓「政治家になることを決意」
3.慶大弁論部時代「人生の学校」〜猛成長〜
4.毎日新聞記者時代「政治の“裏側”を取材!」
5.退職「それから」 〜孤軍奮闘〜
6.衆院選「いざ、鎌倉!」
7.惜敗の後に・・・
8.二度目の挑戦
9.原点、そして通過点