5月7日
政治の信頼を取り戻せ「秘書とカネ、その実態は…その2」

 公設秘書の給与は勤続年数にもよりますが、政策担当が約1000万円、第一が約700万円、第二が約550万円ほどです。私も記者としていろいろな職種の人たちと取材で接してきたから分かりますが、年収1000万円を得るのは大変です。大卒で東証一部上場企業に就職した世間一般で言うエリートサラリーマンでも、一部の商社や広告会社、マスコミを除き、一般メーカーなら30代前半で年収500〜700万円くらいが相場でしょう。

 一方、私設秘書は議員事務所から給与が支払われるので、幅はありますが、車のガソリン代、維持費、高速代、駐車場代、携帯電話代など経費込みで年収300〜400万円前後です。地域のイベントが目白押しとなる土日や休日に休める機会は少なく、平日も朝は議員の送迎運転から、地元の後援会組織回り、陳情受付まで、夕方からは葬儀や式典など日程が入ります。社会保険がない場合も多く、お世辞にも労働環境が良いとはとても言えません。「公設秘書と私設秘書は同じ仕事なのに、どうしてこんなに待遇が違うのか」と不満が上がるのも無理はありません。

 辻本・前社民党政審会長の秘書給与流用疑惑もこうした構造の中で発生しました。つまり、私設秘書がいなくては、地元対策がおろそかになる。地元で支援を得られなければ、再選を果たせない。当選できなければ、議員の仕事も続けられず、秘書も失職してしまう。だから、私設秘書を雇って地元対策に力を入れる。雇うにはカネがいるので、なんとかしてカネをひねり出す。カネをひねるには無理をするしかない。

 といった図式が成り立ち、ジレンマに悩む議員もいるのです。自民党は政権与党で、カネ集めのノウハウもあるので、企業・団体から献金をもらったり、パーティー収入で足りない歳費を補っています。企業から議員個人への献金は法的に禁止されましたが、企業から政党支部へ献金することは現在でも認められています。政治改革の本旨と明らかに違った形で企業献金のシステムが維持されたのですが、その是非は次回に譲るとして、そうした自民党的なカネ集めのノウハウも持たない社民党は、秘書給与を流用するシステムしか選択肢がありませんでした。

 自民党の1、2回生クラスで、政治活動費は月500万円ほどだと取材で聞いたことがありいます。年間6000万円だとすると、2500万円は不足します。選挙のある年は、さらに政治活動費がかかるそうです。秘書を雇用する以外にも、新年会や冠婚葬祭、式典など地元の会合に出席する会費や、地元の事務所を維持する経費がかかります。クリーンと思われ、金権体質だと自民党を攻撃してきた社民党でさえも、こうした費用を捻出するのに、秘書給与を流用する事態が明るみにでました。では、今回の一連のスキャンダルを契機に、どうすれば改善できるのか考えてみたいと思います。(続く)




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