5月24日
解体的出直しでは甘すぎる!社会保険庁は国民に詫びよ!
「年金給付。不正に免除」(5月23日朝日新聞一面)新聞各紙の報道によると、各地の社会保険事務所が、本人の申請があったかのように装い、無断で保険料を免除・納付猶予したりしていたことが発覚しました。国民年金の信頼が揺らぐ不祥事が数年前に続発したことを受け、社会保険庁も組織を新たに、信頼回復に向けて再出発を目指している矢先に、「言語道断」としか言いようがありません。
 24日午前9時から、厚生労働委員会が開会されましたが、当日は「社会保険庁改革法案」の審議がスタートした日。民主だけでなく、法案を推進すべき与党の自民・公明の委員からも大きな非難が渦巻きました。
 保険料の納付率を上げるための組織的な操作であり、参考人に立った社会保険庁の村瀬清司長官は19の事業所で不正があったことを認め、「本人の意思表示なしに手続きをしていた。不適切であり、関係者にお詫び申し上げたい。処分は詳細な調査を終えて、適切に行いたい」と答弁しました。川崎二郎厚生労働大臣も「裏切られた思い。関係者の処分は厳しいものになる」と見通しを答えました。全国的な不正でないかどうか確認が必要ですが、同庁および職員の信頼は地に堕ちました。
 社会保険庁の体質に関わる監督不行届き以前の問題です。同庁はこれまでに、年金パンフレットを作成するために監修料として5億7000万円のキックバックを受け取っていたことが判明。職員だけが使えるマッサージチェア244台を無駄に購入し、約4000億円を浪費。極めつけは全国に13施設あるグリーンピア(年金保養施設)の建設・運営に約3700億円を費やしました。いずれも同庁の組織見直し論の中で、資産を売却しましたが、二束三文の価値でしか売れず、私たちの大切な保険料は灰燼に帰してしまったのです。また、職員が納付データを業務以外の用途でのぞき見し、個人情報に対する管理の甘さも浮き彫りになりました。
 こうした同庁の不祥事を受け、小泉内閣は2年前より、「この組織は廃止して出直すしかない」と組織機構の改革に取り組んできました。今回の審議されている「社会保険庁改革法案」は、組織改変による出直しの第一歩です。内容としては、@同庁を2008年10月に廃止し、年金業務を新設する「ねんきん事業機構」に移行。職員を一万人規模で純減させるA保健医療機関など6業種について、未納者の指定や更新を認めないB国保の未納者について、数ヶ月で有効期限が切れる短期保険証に切り替える等を実施します。こうした措置により、国民年金保険料未納者に対し、罰則的措置を導入し、納付率を上げることが根幹となっています。
 しかし、今回のさらなる追い打ちをかけるような不祥事に、同法案を論じる社会環境が変化したことも事実です。本来ならば、厚生労働委員会で、年金を扱う組織が新たなスタートを切るため、組織や職員の意識のあり方や、納付率をどのように上げるか、どのように保険料の運用を適正に行っていくのか?など、国民の年金への信頼回復(=前進)に向けた審議がなされるべきです。現実には、不祥事に対する質問が集中し、さらには与党の中にも法案成立について否定的な風潮さえも出てきています。  今回の不祥事は、同庁職員が納付率を上げたいばかりに本人の無断で手続きを行ったのは明白です。免除・納付猶予者は納付率の計算から除外されるため、数字のトリックで、「分母を下げる」ことに終始したわけです。これだけの社会の批判を浴びながらも、こうした違法行為をなぜ平然と行っていられるのか。「ノルマがきつかった」は言い訳にしかなりません。同庁によると、保険料納付率は2004年で63%、2007年に80%に向上させることを目標にしていました。民間ではノルマなど当たり前であり、すべてに職員の意識改革が必要なのは言うまでもありませんが、解体的出直しでも甘すぎるくらいに一国民としても怒りを禁じえません。社会保険庁は死んで国民に詫びるべきでしょう。
 大切なのは、国民であり、納付者です。年金保険料を納めることに対する国民的理解を深め、再発防止に向け、絶対的なチェック機能を持った組織が必要なのです。この法案については、こうした視点からさらに審議を尽くし、論点を浮かび上がらせたいと決意を新たにしています。
     




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